所得拡大促進税制の要件が見直し。人材確保等促進税制と合わせてのポイント。
令和3年度税制改正によって、中小企業が対象となる所得拡大税制は、
継続雇用者の抽出が不要となるなどの適用の要件が見直されています。
全企業が対象となる人材確保等促進税制もあり、
その区分がややこしい部分がありますが、
所得拡大促進税制と人材確保等促進税制の併用は
できないので、適用を受ける場合は
どちらか一方になります。
それぞれの適用要件等を見ていくと次の通りです。
人材確保等促進税制の適用要件。
- 雇用者給与等支給額 > 比較雇用者給与等支給額。
- (新規雇用者給与等支給額-新規雇用者比較給与等支給額)÷新規雇用者比較給与等支給額 ≧ 2%。
所得拡大促進税制の適用要件。
(雇用者給与等支給額-比較雇用者給与等支給額)÷比較雇用者給与等支給額 ≧ 1.5%。
となっており、以前よりもシンプルになっている。
税額控除限度額。
人材確保等促進税制
控除対象新規雇用者給与等支給額×税額控除率15%(法人税額の20%を限度。)
※教育訓練費について一定の要件を満たせば、税額控除率5%上乗せあり。
所得拡大促進税制
(雇用者給与等支給額-比較雇用者給与等支給額)×税額控除率15%(法人税額の20%を限度。)
※教育訓練費、経営力向上の一定の要件を満たせば、税額控除率10%上乗せあり。
人材確保等促進税制と所得拡大促進税制のポイント。
人材確保等促進税制
・適用要件に係る“新規雇用者給与等支給額”と,税額控除限度額に係る“控除対象新規雇用者給与等支給額”で用いる給与等の範囲が異なる。
・既存の従業員等への給与等の増加も適用要件。
所得拡大促進税制
・継続雇用者の抽出が不要となり,雇用者給与等支給額をベースに適用要件を判定。
・人材確保等促進税制との併用は不可。
両制度共通
・適用要件の判定時には,給与等の支給額から雇用調整助成金等を控除しない。
・税額控除限度額の計算時には,給与等の支給額から雇用調整助成金等を控除する。
となっています。
人材確保等促進税制の用語の意義。
- 新規雇用者給与等支給額
法人の適用年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内新規雇用者(雇用保険法の一般被保険者に該当するものに限る。)に対する給与等の支給額。 - 新規雇用者比較給与等支給額
法人の適用年度開始の日の前日を含む事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内新規雇用者に対する給与等の支給額。 - 控除対象新規雇用者給与等支給額
法人の適用事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入される国内新規雇用者に対する給与等の支給額のうち、その法人の適用年度の調整雇用者給与等支給増加額(雇用者給与等支給額から比較雇用者給与等支給額を控除した金額。)に達するまでの金額。
この改正は、令和3年4月1日開始事業年度から適用が開始となるので、
来年3月決算の企業の申告から適用が本格化されるので、
適用要件を満たす場合等は、どちらの利用が有利かなどの判定なども必要となる事が
あるかもしれません。
川崎生まれ・川崎育ちの税理士、濱村純也です。
川崎周辺(もちろんそれ以外でも)での
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