仮想通貨の評価損の損金算入不可。
以前のブログでも、仮想通貨について書きましたが、その中で法人が期末に保有している仮想通貨について、税務上は基本的に時価評価はしないという取り扱いになっています。
そうは言っても、落ち着いてとはいえ、乱高下が相変わらず大きい仮想通貨市場ですし、3月決算にの会社が法人で保有しているケースも多いようで、評価損(益)の時価評価は原則できないが、他方どういった場合に出来るのかという事もあると思います。
そこでなぜ仮想通貨の評価損の損金算入が不可となるかを見ていくと、
税務上,物損等の事実や法的整理の事実など特別な事情がある場合に限り、評価損について損金算入を認めているが、仮想通貨の価格の著しい下落は物損等の事実には当たらないとのこと。なので、会計上で評価損を計上した場合であっても、税務上は法的整理等の事実がある場合を除き損金算入できないという事になっています。
会計上は、活発な市場がある場合には期末に評価損益を計上する処理とあるのに対して、税務上は原則評価損益は認識しませんが、一定の事由に該当する場合には益金算入又は損金算入が認められることになります。
〇 評価益の益金算入が認められるケース
・更生計画認可の決定があった場合 等
〇 評価損の損金算入が認められるケース
・物損等の事実が生じた場合
・法的整理の事実や更生計画認可の決定など一定の事実が生じた場合 等
上記の中でも法的措置以外の部分で「物損等の事実」が生じた場合があるが、これについては法人税法施行令68条より
一 棚卸資産 次に掲げる事実
- イ 当該資産が災害により著しく損傷したこと。ロ 当該資産が著しく陳腐化したこと。
ハ イ又はロに準ずる特別の事実
二 有価証券 次に掲げる事実
- イ 売買目的有価証券の時価評価金額に掲げる有価証券の価額が著しく低下したこと。ロ イに規定する有価証券以外の有価証券について、その有価証券を発行する法人の資産状態が著しく悪化したため、その価額が著しく低下したこと。
ハ ロに準ずる特別の事実
三 固定資産 次に掲げる事実
- イ 当該資産が災害により著しく損傷したこと。ロ 当該資産が1年以上にわたり遊休状態にあること。
ハ 当該資産がその本来の用途に使用することができないため他の用途に使用されたこと。
ニ 当該資産の所在する場所の状況が著しく変化したこと。
ホ イからニまでに準ずる特別の事実
四 繰延資産 次に掲げる事実
- イ その繰延資産となる費用の支出の対象となった固定資産につき前号イからニまでに掲げる事実が生じたこと。ロ イに準ずる特別の事実
となっています。
法人所有の仮想通貨は棚卸資産のような性質も持ち合わせる事が考えられるが、仮想通貨は“データ”でしかないため、「イ 災害による著しい損傷」「ロ 著しい陳腐化」「ハ イ又はロに準ずる特別の事実」のいずれにも該当しないと考えられ、また、同項に規定する有価証券・固定資産・繰延資産にも該当しないと考えられるため、仮想通貨の価格の著しい下落は物損等の事実に当たる余地はないでしょう。
なので結果的には「物損等の事実」が生じる場合というのに該当する事柄は、現実的には該当するものがないため、法的整理などの特別な事情がある場合を除き、仮想通貨の保有の段階では評価損益を認識せず、譲渡時に認識するということになるでしょう。
税務上はやはり基本的に、「期末評価はしない」という認識で変わることは現状はないと思いますね。
川崎生まれ・川崎育ちの税理士、濱村純也です。
川崎周辺(もちろんそれ以外でも)での
創業支援・創業融資・借入等資金調達支援・税務相談等
各種補助金、助成金への申請等の力にもなる税理士事務所です!
濱村純也税理士事務所へ気軽にご相談ください。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
―――――――――――――――――――――――――――
濱村純也税理士事務所
税理士 濱村純也
〒212-0024 神奈川県川崎市幸区塚越3-367
TEL:080-4058-1185 FAX:044-330-1376
Email:jh@hamamura-tax.com
URL :https://www.hamamura-tax.com
―――――――――――――――――――――――――――
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇