海外口座情報の入手により、富裕層らの課税逃れに対する対応への効果が期待されているようです。
国税庁によると、10月31日に世界各国の口座情報を自動的に交換し、資産をガラス張りに出来る新制度(CRS)を使用して、64の国と地域の金融機関にある日本人の口座情報を入手したと公表されました。
これによって、資産隠しや国際的租税回避行為への対応が強化され、効果が期待されています。
CRS(共通報告基準)とは?
CRSとは、経済協力開発機構(OECD)が策定した共通報告基準と呼ばれる制度。
国内の金融機関が、非居住者の保有する金融口座情報(口座保有者の氏名、住所、外国の納税者番号、居住地国、口座残高や利子・配当等の年間総額等の情報)を所轄税務署長に報告し、この報告された情報を参加国(100を超える国と地域。)の税務当局と自動的に交換することで、海外資産を透明化できる仕組みになっている。
CRS情報の初回交換の概要
今回の交換の件数等(9月・10月に日本が受領・提供した分)がとりまとめられ、国税庁は日本の非居住者の金融口座情報について、58ヶ国・地域に89,672件提供したと公表。
他方で、日本の居住者に係る金融口座情報について、64ヶ国・地域から550,705件を受領したと公表されています。
受領した件数の内訳をみてみると、
- アジア・大洋州 11ヶ国・地域 290,660件
- 北米・仲南日 13ヶ国・地域 41,915件
- 欧州・NIS諸国 35ヶ国・地域 202,455件
- 中東・アフリカ 5ヶ国・地域 15,675円
となっている。
ほぼ半数がアジア・大洋州かたのものとなっているのが特徴。
今後への展望と期待
国税庁は受領した金融口座情報について、国外送金等調書、国外財産調書、財産債務調書、その他既に保有している情報とあわせて分析し、海外への資産隠しや国際的租税回避行為をはじめとした様々な課税上の問題点を幅広く把握して適切に対応していくとしています。
この制度のメリットは、これまで同じような情報を得ようとした場合に係る人手や時間が大幅に改善される事も大きいようで、課税逃れ等を速やかにチェックが出来るようになる。
こういった制度により、情報の明確化が簡単に早くおこなえるようになることで、納税者のコンプライアンス(法例順守)意識も向上するので、自主的な申告にもつながっていき、納税者自身の情報把握への意識もより高まっていく事につながるのでその効果の大きさは多大なものになるかもしれません。
ちなみに特定多国籍企業グループの最終親会社等についてはCdCR(国別報告事項)の自動的情報交換というものが移転価格リスク評価等に使用されているようです。
川崎生まれ・川崎育ちの税理士、濱村純也です。
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