法人税法でも仮想通貨の期末時価評価が原則。(H31税制改正大綱)
平成31年度税制改正大綱の取りまとめが、12月13日に予定されていたようですが、調整が難航していて12月14日以降に延期されましたが、無事?に14日に出ました。
その中で、仮想通貨についての項目で大きな論点があったので書いていこうかなと。
現行の法人税法では、期末評価は原価法。
現行の法人税法に置おいては、仮想通貨について期末所有分があっても特に時価評価をしなければならないという事はなく、原価法で行っていました。
評価の法整備等が曖昧な状態だったので、時価評価と言われても困惑してしまうといった事情もあったと思います。
原価法から時価法へ。
しかし、去年の個人の仮想通貨による納税が大幅に増えたことで、法整備もある程度まで整ったととらえたのか納税環境整備の項目として次のように上がっています。
仮想通貨に関する法人税の課税関係の整備の観点から、時価法を導入し、法人が事業年度末に有する仮想通貨のうち、活発な市場が存在する仮想通貨は時価評価により評価損益を計上する。
仮想通貨の譲渡損益については、その譲渡に係る契約をした日の属する事業年度に計上するといった措置を講ずる。これらの見直しは、平成31年4月1日以後終了事業年度分の法人税に適用する。
このようになっているので、やはり仮想通貨の期末評価は時価法が原則となります。
活発な市場とは。
正直、仮想通貨のように乱高下がある意味激しいものについては、確かに期末の時価評価で、思いもよらない評価損益が発生してしまう事があると思います。現在のビットコインの値下がりは予想外過ぎますが…。
なので、期末評価で時価法によりその時点に即した評価とする事は理にかなった事だと個人的には思っています。
ただ「活発な市場」といったくくりがあるのが、少し複雑な印象を受けます。活発な市場以外での仮想通貨とは何なのかなどの線引きはどこまでになるのか。
ただでさえ、期末時点の時価をどこのどの時点で判定するかだけでも色々と問題がでそうですので、この辺りは、明確に基準を設けるなりするのかが気にかかるところです。
適用開始の予定時期。
もう一つ気になったというか、これはすぐに対応せざるを得なくなるといったものが、適用開始時期です。
平成31年4月1日以後終了事業年度分の法人税に適用する。
となっていますので、平成30年4月1日開始の法人はまだいいのですが、それ以後に開始した法人については、次の決算から期末評価を開始する事になるので、混乱を生じないように情報を得る必要があると思いますし。それに沿った決算への対策等も行っていく必要があると思います。
以後開始事業年度からではないので。
ただし、同日前に開始し、かつ、同日以後に終了する事業年度については、会計上仮想通貨につき時価評価していない場合には、適用しない事ができる経過措置が講じられるようですので、注視が必要です。
信用取引についても注意が必要。
仮想通貨の信用取引についても、「法人が事業年度末に有する未決済の仮想通貨の信用取引等については、事業年度末に決済したものとみなして計算した損益相当額を計上する。」とあるのでみなし決済損益を計上する事になります。
時価評価による損益への対応。
時価評価により、結果として法人が保有している仮想通貨については、未実現の含み益に課税される事になっていく訳なので、その対策を講じる必要性も出てくるでしょう。
例えば
- 期末を迎える前に仮想通貨の決済をする。
- 他の所有資産や株式などの含み損があるものを売却して、損益の相殺を図る。
- 一括で損金にできる資産(30万円未満の少額減価償却資産など。)の購入して、損益のバランスを保つ。
など。
損が出る場合もあるので、一概には言えませんが、このような対策も打つ必要がでてくるかと思います。
川崎生まれ・川崎育ちの税理士、濱村純也です。
川崎周辺(もちろんそれ以外でも)での
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経営革新等支援機関業務・会社の健康診断も行い
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